一間間口のガラス戸の向こうは四畳半位の畳敷きで、入り口はその左にある土間に続く半間の戸を開けてお店に入ります。
畳敷きの奥左端に小さな勘定場の机があって、きれいな身支度をしたおばあさんがいつもちょこんと座って通りを眺めていらっしゃいました。
店の右端にガラスで仕切られた小さなショーケースがあって、きれいな反物が下げられていていました。
その反物は30センチ位ごとに柄が違っていて、時々柄が変わるようにされていて、私はその見本の柄を眺めるのが下校途中の楽しみでもありました。
子供時代、母から「どなたにあっても自分からあいさつしなさい」と言われていたので、たいがいの方にはそのようにしていました。
けれども、染物屋のそのおばあさんだけはご挨拶をしたことがありませんでした。
ほぼ毎日お店を覗いていたけど、子供心にバリアを感じていたのでしょうか・・
一度だけお店の中に入ったことがあります。
叔母が手持ちの着物を染め変える時だったと思います。
付いて行きました・・
畳の上に上がる時は緊張しました、 だってあのおばあさんがいるかと思うと・・
でも出てらしたのは愛嬌のいい女の人でした。
中学生の頃そのお店は閉店してしまい、色の褪せてしまった反物が同じ柄のままショーケースの中に下げられていました。
posted by アメジスト at 11:10| 福岡 ☁|
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